3.何でごみが海に流れるの?
なぜこんなに海洋ごみがあふれているのか。
少なくとも私は、ごみはごみ箱にと教わり、当たり前のように行っているし、周りの知る限りの人たちも同じである。
環境省によると、海洋ごみの7割は陸からのごみ。3割は海で出たごみ(漁具など)だという。
やはり何らかの理由で、日常生活ででたごみが海に流れてしまっていることになる。
さらに、海に出たごみは長い間漂うという。
・紙・木 →数か月~5年
・レジ袋 →20年
・アルミ缶 →200年
・プラスチックのふた →400年
・ペットボトル →450年
450年である。。。450年前にペットボトルは存在していなかったし、
いまから450年後はペットボトルなんて何かに置き換わっているだろう
つまり、消えずにただ漂い続け、少しづつ少しづつ蓄積していった結果が今なのだろう。
そして、地球上で起こる大きな津波や、水害などにより海に様々なものが流れ出している。
一度手を離れたごみは自然に消えてなくならないということだ。
私が、ごみ箱にいれ損ねたペットボトルは今後450年海を漂流するのだ。
そう考えると、プラスチックごみが間違いなくリサイクルなり焼却なりの工程をへて
この世からなくなると思っていたが心配になってくる事実だ。
2、マイクロプラスチック、何がどう問題なのか
今回のレポートでは、マイクロプラスチックが具体的にどのような影響を与えるのか、魚、人間、海それぞれお伝えします。
1.魚
環境省「中央環境審議会環境保健部会」2016によると、
マイクロプラスチックは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などのPOPs(難分解性、高蓄積性、有害性を持つ物質)を吸着することがわかっています。
さらに、ダイオキシン、DDTなどの有害化学物質を取り込みやすいことが分かってきました。
このような有害物質が付着したマイクロプラスチックを食べたプランクトンを小魚が食べ、さらに大きな魚が、小魚を食べるといった食物連鎖によって、有害物質が魚の体内で濃縮され蓄積されていきます。
そして、その大きな魚を食べるのが、他ならぬ人間なのです。
2,人間
マイクロプラスチックを食べた魚を食べた人間の体ではどんなことが起こるのでしょうか。
マイクロプラスチック自体は、そのまま排泄されます。という意見もありますが、
環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室の報告によると、マイクロプラスチックは、消化器官を超え、体の様々な部分に移行していることがわかりました。
2.2.2. 生体内におけるプラスチックの消化管以外の組織への移行
・ポリエチレン製のマイクロプラスチックが 3 種のニシン科の肝臓に移行した。肝組織からマイクロプラスチックを分離し、肝臓を凍結切片化し、偏光顕微鏡で観察した結果、カタクチイワシ属の一種(Engraulis encrasicolus)の 80%が肝臓に 124 µm から 438µm の範囲の比較的大きなマイクロプラスチックを含んでいた。これは高レベルの汚染を示している。 肝臓中で確認された大きな粒子は、小さな粒子の凝集によって生じていたか、あるいは腸壁をそのまま通過した可能性がある(Collard et al. 2017
68)。
・4 種の底生及び遠洋の魚(コチ科の一種(Platycephalus indicus)、エソ科の一種(Sauridatumbil)、モトギス(Sillago sihama)、コウライアカシタビラメ(Cynoglossus abbreviatus))の腸(消化管)、皮膚、筋肉、鰓及び肝臓と、クマエビ(Penaeus semisulcatus)の筋肉から、マイクロプラスチックが合計 828 個検出された。検出されたマイクロプラスチックは繊維状のものが主であった。調査した 5 種はどの種も広範囲の大きさのマイクロプラスチックを摂取していた。特に、コチ科の一種、モトギス、 クマエビでは 100~250 µmのプラスチックの摂取が多く、コウライアカシタビラメ及びエソ科の一種では 250~500 µm の摂取が多かった(Abbasi et al., 201869)。
・球状ポリスチレン(4~16 µm、0.51 g/L)の生体内蓄積と毒性のメカニズムをイガイ属の一種(Mytilus edulis)を対象に調査した結果、ポリスチレンは腸から循環系に移行し、血リンパ中で 48 日間以上保持された。その濃度は 12 日後に最大となり、その後減少した。小さい粒子ほど組織内の蓄積ポテンシャルが高かった (Browne et al., 2008
70)。
マイクロプラスチック自体は、消化されずにそのまま排泄される、という意見も見られますが、このように、肝臓や筋肉、血リンパ中にも保持されていたという結果が出ています。
魚での結果ですが、人間でも十分に可能性のあることだと思います。
また、検出されたマイクロプラスチックが繊維状であったことも気になる点です。
さらに同報告書には、マイクロプラスチックの毒性として、以下の実験結果を報告しています。
2.3.1. 実験室での実験
・観測された影響は、経口摂取されたプラスチックによって消化活動が物理的に阻害されることに起因する機能不全(摂餌の減少、体重の減少等)がほとんどである。その他の影響としては、ファゴサイト活性の増加、リンパ系への移行、配偶子の質の低下、胚発生異常の増加、遊泳行動異常、運動能力低下、捕食能力低下、発現遺伝子の変化が報告されている。これらはプラスチック摂取後に腸以外の器官に移行した可能性を示している(GESAMP, 201659)。
このように魚に影響が及んだことは当然人間にもあり得ることです。
3.海
マイクロプラスチックが有害物質を付着させた状態で、海を漂い、海洋汚染を広げる運び屋となっています。
自然が守られてきた、ガラパゴス諸島やカナリア諸島といった地域においても、マイクロプラスチックに吸着したPCB濃度のデータが報告されています。
出典:海洋プラスチックごみに関する既往研究と今後の重点課題
(生物・生態系影響と実態)
令和 2 年 6 月
環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室
マイクロプラスチックの影響は、想像していたよりも深刻でしたし、いまだ研究段階で分かっていないことも多いことがわかりました。
次回のレポートでは、プラスチックごみが海に放流される原因を調べます。
動物実験をなくすことは可能か
動物実験は反対するだけではなくならない。
動物実験が行われている状況を知らなければ、現状を変える道筋は見つからない。
このレポートで、動物実験に対して、賛成と反対だけに分けることができない理由を紹介する。
動物実験=悪 ?
あなたが飲んでいる頭痛薬、友人の病気を治した治療薬、それらは全て実験動物から得られた情報を使って開発されている。
お母さんが薬を飲みながら安心して母乳を上げられるのもまた動物実験のお陰だ。
人間の生活と、動物実験は切っても切り離せない歴史がある。
では、このままでいいのかといえばそうではない。
ファッション業界や、化粧品業界では「動物の犠牲の上に成り立つ美はいらない!」という声が高まり、エコファーやフェイクレザー、動物実験を行なっていないクルエルティフリーな化粧品が広まっている。
経済活動に影響を与える女性の力は強いと感じる。
スイスで13日、動物愛護団体が提起した医学・科学上の実験での動物使用禁止案について国民投票が実施され、反対79%、賛成21%で否決された。
禁止案支持者は、動物実験が倫理に反する上に必要ないと主張。しかし国内で大きな影響力を持つ製薬業界が、実験を禁止すれば経済的な打撃が大きいと警告し、反対運動を展開していた。製薬業界団体のトップは「われわれはこの有害な提案がはっきり否決されたのを喜ばしく思う。人々の健康と繁栄のために(動物実験が果たしている)中心的な役割を国民が認識していることが証明された」と述べた。
ニューズウィーク記事(2022/2/14) https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2022/02/371203.php
スイスの動物保護法(2008年施行)は世界で最も厳しく、最も整備された法律のひとつと言われている。研究機関は、全ての動物実験、拘束について当局の許可が必要だ。さらに、研究者は実験動物に与える苦痛よりも、社会の利益の方が重大であることを証明できなければならない。
動物実験が行われるのは、研究に対しての代替手段が存在しない場合だけである。
やむをえず、実験が行われる時は、動物実験3Rに則り管理をされる。
動物実験3R
- Replacement(代替):「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」
- Reduction(削減):「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること」
- Refinement(改善):「できる限り動物に苦痛を与えないこと」
今回の否決には、国内の大手製薬会社の声が大きく影響を与えたと思うかもしれない。
しかし、スイス国立科学財団、スイス動物保護協会も、同案は過激として反対を表明した。
それにしても、最低限の動物実験しか行っていないと断言できることに、スイスの動物福祉のレベルの高さを感じる。
否決された理由を、もう少し考えてみよう。
・多くの薬品を国内で製造、輸入ができなくなる
(スイスには大手製薬会社ノバルティスファーマの本社がある)
・世界の医学の進歩から取り残されてしまう
・研究の拠点を失い、研究者が国外へ流出する
・他国に動物実験が委託され、今より劣悪な環境下の実験になり得る
・動物実験代替法が足りない
スイスで行われている動物実験のほとんどは高等教育機関や企業によるものだった。
2020年に行われた動物実験の6割以上が生物学の基礎研究に関するもので、化学的な仮説の実証や、細胞や臓器の摘出を目的としていたことがわかっている。
出典: swissinfo.ch
https://www.swissinfo.ch/jpn/business、/動物実験禁止-スイス-4度目の国民投票へ/47245052
残念な事実ではあるが、動物実験は現状、医学等分野の研究において必要なものであることがわかった。
ところで、治験をご存知だろうか。
医療用医薬品が、販売される前に行われる人に投与する試験である。
まずは健康成人男性、次に厳しく選定された患者さんに対して投与し、有効性や副作用を検証する。
治験の被験者は、あらゆる面で守られている。
本人の意思でいつでも止めることができ、副作用が出た場合にはすぐに中止し、医師による治療を受け、副作用により被害を受けた場合には補償を受けることができる。
動物実験が完全になくなるには、動物実験代替法の技術が進み、人間の生体や遺伝子に即した情報が得られるようになる必要がある。
それまでは、動物実験の3Rに加えて、治験のように守られ、整った環境で実施されることを願ってやまない。
動物病院新米スタッフのコラム②
動物病院は小児科です
「動物病院は小児科ですよ」
わたしが働き始めてすぐ、院長から言われたひとことだ。
「精神科になるときもあるけどね、、」とさらに続く。不安だ。
たしかに、犬猫ではなく、「わんちゃん」であり「ねこちゃん」
エサは、ごはん。
飼い主はお母さんとお父さん、は言い過ぎだけど、苗字にさん付け。
ペットは家族で、子供のように可愛がっているオーナーさんは多い。
しかし、院長の言葉の意味はそれだけではない。
街の動物病院は、人間のクリニックのように〇〇科というのがない。
具合が悪い子が連れてこられたら、泌尿器科、耳鼻科、心療内科、循環器内科、外科、整形外科全ての疾患の可能性を考慮して診療にあたる。
検査の上診断がつくと、必要があれば、県外や遠くの専門的で先進的な治療を受けられる病院を紹介する。
この判断が、全ての診療科の知識をフル動員しなければならないのでとても高度なのだ。
そう言った意味で、小児科。
本人がうまく症状を伝えられないといった意味でも小児科。
治療を受ける意味がわからず、泣いて(鳴いて)嫌がられる、暴れる、ときには怖がられ嫌われる
そう言った意味でも小児科(涙)
精神科といった意味は、、、私は、まだ本当の意味では理解できていない。
「動物は好きだけど、人間は嫌いです。」
そう呟く院長の表情が、過去にあった心労を物語る。
これから私も暗く呟く時がくるのだろうか。
きっとその時には、病院の戦力になっているはず
動物病院新米スタッフのコラム①
温かさはいのち
「腕のなか 震えるわんこで 暖をとる」
どうも、新米スタッフ、影の姿です
冬の病院は、院内であっても肌寒く
わんこを抱く機会があれば、こっそり暖をとっている。
たとえ、わんこが不安に打ち震えていても
それはそれはあたたかい。加えてふわふわだ
工事現場のお兄ちゃんが手を温めるホットコーヒーなんて比にならない(知らないけど)
命ある生き物の温かさに触れると、さらにふわふわが加わると、日頃のストレスが溶け出して、病院の床に吸い込まれていく。
動物病院の下には、スタッフのストレスがたっぷりと染み込んでいるはずだ。
高齢で容体が悪い子が運ばれてくると、診察室は緊張が走る。
中に入れるのは、院長とベテラン看護師だけだ。
診察から出てきた看護師の顔は青ざめていて、
「足が、、こんなに冷たかった、、」
と言って触れたものは、金属製のカルテ棚だ。
命が消えそうな時、温かさも消える。
診察室では、いつ死んでもおかしくない容体であることが、包み隠さず伝えられていた。
高齢の子に対して、積極的な治療を望むオーナーさんは少ない。家に連れて帰る。
温かさが消えそうな子には、家庭の温かさで包む。
熱を出して慌てふためくことがあるが、熱もウイルスや細菌と戦っているからで、生命力の表れだ。
やはりあたたかさは命だ。
リスと次女の貯食行動
貯食行動は、リスが餌がなくなる冬に備えて、どんぐりなどを隠す習性のことだ。
次女が、この貯食行動をはじめた。
リスとの共通点は、気に入っているもの、大切なもの、に対してのみ行う行動であること。
先日は、iPadが引き出しの中から突然現れた。
わたしの本棚から、ゴム性の恐竜の尻尾だけが飛び出している。
そして今日、とうとうマリオカートのソフトが無くなった。
唯一次女が楽しめるゲーム。マリオカート。
みんなが大好きなマリオカート。
次女の貯食行動の対象となったマリオカート
無くなったことに気がついた時、次男は自分が隠したことを初めて思い出した。
隠したことも、隠し場所も忘れるところまで共通している。
春になれば、山に隠されたどんぐりは芽吹き、山に新たな緑を与える
マリオカートはせいぜい埃を被るだけだ。
1,マイクロプラスチックとは何か
マイクロプラスチックとは、直径5mm以下の小さなプラスチックのこと。
と書くと些細なものに感じられるかもしれないが、
「5mm以下」は厄介なものだとこれからわかる。
マイクロプラスチックの分類
- 一次マイクロプラスチック
【家庭】
洗顔料や歯磨き粉のスクラブ材(ポリエチレン末、高融点ポリエチレン末など)
主に家庭の排水溝などの下水処理を通り、海へ流出。
小さすぎて今の技術では回収不可能。製品化されたあとの対策は難しい。
★化繊の洋服、洗うたびに繊維状のマイクロプラスチックが同様に海へ流出!
【企業】
プラスチック製品を作る原料の「レジンペレット」もマイクロプラスチック
- 二次マイクロプラスチック
捨てられたビニール袋やペットボトル、たばこのフィルターなどの
プラスチック製品が側溝→川→海へ流出
紫外線などにより劣化し、波の作用で破砕されてマイクロサイズになる。
これらは、ごみの発生を抑制することで対策できる。
マイクロサイズになってからの回収は困難。
以上が、簡単ではあるが、マイクロプラスチックは何たるかである。
早速、洗面台へ行き、洗顔料や歯磨き粉の裏面を見てみる。
ポリエチレン末の文字が並んでいないだろうか。
並んでいないことに安心してはいけない。
わたしが着ているのは、化繊100%のフリースだ。
次回は、マイクロプラスチックが、どんな影響を与えるのか魚と人間と海で調べる!