動物にかかわることなんでも書くブログ

生体販売を行わない動物のための会社を作りたいです

動物実験をなくすことは可能か


動物実験は反対するだけではなくならない。


動物実験が行われている状況を知らなければ、現状を変える道筋は見つからない。


このレポートで、動物実験に対して、賛成と反対だけに分けることができない理由を紹介する。


動物実験=悪 ?

 

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あなたが飲んでいる頭痛薬、友人の病気を治した治療薬、それらは全て実験動物から得られた情報を使って開発されている。

お母さんが薬を飲みながら安心して母乳を上げられるのもまた動物実験のお陰だ。


人間の生活と、動物実験は切っても切り離せない歴史がある。


では、このままでいいのかといえばそうではない。


ファッション業界や、化粧品業界では「動物の犠牲の上に成り立つ美はいらない!」という声が高まり、エコファーやフェイクレザー、動物実験を行なっていないクルエルティフリーな化粧品が広まっている。

経済活動に影響を与える女性の力は強いと感じる。

 

【スイス国民投票動物実験禁止案を否決】

スイスで13日、動物愛護団体が提起した医学・科学上の実験での動物使用禁止案について国民投票が実施され、反対79%、賛成21%で否決された。

 

禁止案支持者は、動物実験が倫理に反する上に必要ないと主張。しかし国内で大きな影響力を持つ製薬業界が、実験を禁止すれば経済的な打撃が大きいと警告し、反対運動を展開していた。製薬業界団体のトップは「われわれはこの有害な提案がはっきり否決されたのを喜ばしく思う。人々の健康と繁栄のために(動物実験が果たしている)中心的な役割を国民が認識していることが証明された」と述べた。


ニューズウィーク記事(2022/2/14) https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2022/02/371203.php


スイスの動物保護法(2008年施行)は世界で最も厳しく、最も整備された法律のひとつと言われている。研究機関は、全ての動物実験、拘束について当局の許可が必要だ。さらに、研究者は実験動物に与える苦痛よりも、社会の利益の方が重大であることを証明できなければならない。


動物実験が行われるのは、研究に対しての代替手段が存在しない場合だけである。

やむをえず、実験が行われる時は、動物実験3Rに則り管理をされる。


動物実験3R

  • Replacement(代替):「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」
  • Reduction(削減):「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること」
  • Refinement(改善):「できる限り動物に苦痛を与えないこと」

 

今回の否決には、国内の大手製薬会社の声が大きく影響を与えたと思うかもしれない。

しかし、スイス国立科学財団、スイス動物保護協会も、同案は過激として反対を表明した。

それにしても、最低限の動物実験しか行っていないと断言できることに、スイスの動物福祉のレベルの高さを感じる。


否決された理由を、もう少し考えてみよう。


・多くの薬品を国内で製造、輸入ができなくなる

(スイスには大手製薬会社ノバルティスファーマの本社がある)

・世界の医学の進歩から取り残されてしまう

・研究の拠点を失い、研究者が国外へ流出する

・他国に動物実験が委託され、今より劣悪な環境下の実験になり得る

動物実験代替法が足りない


スイスで行われている動物実験のほとんどは高等教育機関や企業によるものだった。

2020年に行われた動物実験の6割以上が生物学の基礎研究に関するもので、化学的な仮説の実証や、細胞や臓器の摘出を目的としていたことがわかっている。

出典: swissinfo.ch

動物実験禁止 スイス、4度目の国民投票

https://www.swissinfo.ch/jpn/business、/動物実験禁止-スイス-4度目の国民投票へ/47245052

 

残念な事実ではあるが、動物実験は現状、医学等分野の研究において必要なものであることがわかった。


ところで、治験をご存知だろうか。

医療用医薬品が、販売される前に行われる人に投与する試験である。

まずは健康成人男性、次に厳しく選定された患者さんに対して投与し、有効性や副作用を検証する。

治験の被験者は、あらゆる面で守られている。

本人の意思でいつでも止めることができ、副作用が出た場合にはすぐに中止し、医師による治療を受け、副作用により被害を受けた場合には補償を受けることができる。


動物実験が完全になくなるには、動物実験代替法の技術が進み、人間の生体や遺伝子に即した情報が得られるようになる必要がある。

それまでは、動物実験の3Rに加えて、治験のように守られ、整った環境で実施されることを願ってやまない。